春の陽光を浴びる僕。
彼女はその滑らかな髪を流して、ゆっくりと移動する。
長峰清奈と呼ばれた少女は部屋の中央列の前から2番目、空席だったそこに座った。
ちょうど、ふっくんの隣である。

「長峰……清奈さん。俺は福原丈、よろしくな」

ふっくんの野郎、抜け駆けか。
止めていた方がいいのによ。お前のその容姿で女はオトせないって。
ほら、案の定……

「……」

無視されてやがる。
おつかれ、ふっくん。






「いや~あのさくらちゃんと並ぶ程の美少女がおるとはな~」
一平が切り出す。
男3人の帰り道。とはいえ絵夢を帰りも付き添ってやらねばならないので、校門までしか一緒にならない。

「俺は……くそ……シカトされた……」
「馬鹿だなお前。ああいうタイプは馴れ馴れしく話しちゃダメなんだよ。一気に距離縮めようとしたら警戒心もたれるだけだっつーの」
「でもな! あいつと仲良くしない手なんかあるか!? 無いだろ? そうだろ? あんな可愛い子が俺の隣に来て座るんだぜ! はー……はー……」

息をきらして力説したか。ていうかそのハァハァは誤解されるから静止を激しく推奨するぜ、ふっくん。