「ここは高等部のC棟だよ。中等部はA棟に行かなきゃ」

すると、その子は急に膨れた。

「むー中等部じゃないですよー。これでも高校生ですっ!」

「え! そうだったの?」

「そうも何も、ちゃんとここにバッジをつけてるもん!」

僕はその子の左胸に金色に光るバッジを見た。
このバッジは高等部にしか配られない。まだピカピカな所を見ると――

「もしかして君も、今日から高校生?」
「そうですよ~」
「じゃあ僕と同学年じゃないか!」
「あ……あなたもそうなんですか?ちょうどよかったですっ!」

また手をぐるぐる回してその子は言った。

「わたし今日転校して来たばっかりで……すいませんが、4組の教室がどこか教えてくれませんか?」
「ああ、そういうことならいいよ」

その子は再びニッコリと笑った。

「ありがとうございますー!」
「そうだ、君の名前は?」
「わたしですか? 星影ハレンって言います」
「ハレン……って、どうやって漢字で書くの?」
「そのままカタカナでハレンって言うんです。よろしくお願いしますね! それじゃあ、あなたの名前は?」

僕は――



「相沢悠だ。よろしくな」