「はい。」

僕はそれを拾って、走ってきたその女の子に渡そうとするが

「あれ?あれれぇ?足がとまんないよお~~!」



ん?
目の前に天井が見える……って
ああ、ぶつかって倒れただけか。

起き上がろうとすると

「えぇ!」

ちょ…乗っかかってる!乗っかかってるって!

し……しかもこの軟らかい感触はちょっ……!

心拍数急上昇。
呼吸数急激増加
ドキンドキンですよ。



「あ……あれ……メガネはどこーー?」

その子は手探りでメガネを探していた。あぁ……これだな。今時珍しい、お笑い芸人ぐらいしか身に付けていない赤ぶちメガネだ。

「はい」

それも渡し、少女はメガネをかけた。

「す……すみませんっ!いきなりぶつかっちゃって……! だ……だだだだ……大丈夫ですかぁ!?」

頭を何度もペコリと下げるその子。今気づいたんだが、かなり背が低い。そのくせ、なんというか……胸が……その……

「あーー僕は大丈夫。大丈夫だからーな?」

「あ……そうですか。よかったぁ……!」

目の前にいるメガネをかけたちっちゃな女の子は、花が開くように笑った。
恐らく中等部の子だろう。