僕は高等部のC棟に入り、下足に張り出されているクラス表に目をやる。どうやら僕は五組のようだ。

一学年に九組まで存在する大きな学校だが、表を見ると殆んどが中等部の時に知り合った人が多く、名前ぐらいなら知ってるよっていうのも含めると知らないのは数人程度だ。

なんというか、物足りない。もうちょっと変化が欲しかった。余りにも何も無さすぎる。ただただ平凡な日常…。そんな繰り返しに飽々しているのは僕だけなのだろうか。

他の皆は

「今日から高校生だ! 心機一転して頑張ろう!」

とか思っているのか?
周りを見渡す。そこにあったのは中等部時代と変わらぬ光景。

馬鹿は馬鹿のままで、
天才は天才のままで、
優等生は優等生のままで、

サボり魔はサボり魔のままだ。


なぜだか、教室に行く足が重い――



すると……



ん?
何かが走ってくる……?
と思った途端に、

「すみませーーーん!」

なんだ……!?


僕の左手に延びる登り坂のスロープ、その上から手をグルグル回しながら誰かが走って来た。


「それ拾ってくださーーーい!」

床を見るとパチンコ玉のような物が転がってきている。

っ!
あれは確か!