―教室――

取り敢えずなんとか
入学式に途中参加できた。

今はHRの時間。
クラスはくじで決まった。

当然だけど
知り合いなんていない。

「ねえ、紅季くんだよね?」

いきなり話しかけられて
びっくりする。

目の前に映るのは
可愛らしい感じの女子。

大きな目がキラキラしてて
美人というよりは可愛い系。
キャラメル色の髪を
頭のてっぺんで縛っていて、
本当に女の子らしい子だった。

「そ、そうだけど」
「ウチ前の席なの!よろしくね!!」

声もとても可愛い、
愛らしい感じの喋り方。

女のあたしが可愛いって
思うんだから間違いない!

あ…、
今は男の子なんだった!

「俺、紅季梨乃。りのでいいよ!」
「梨乃っていうんだあ!女の子みたいだね!」

ごめんなさい、
女の子なんです。

なんか嘘吐いてる感じで
ちょっと罪悪感…。

「ウチは好衣(スイ)です!」
「すいちゃんかあ、珍しい名前だね~」
「すいでいいよー!」

好衣はあたしの前の席に座ると
そっと顔を近づけてきた。

あたしも好衣の方に
耳を傾ける。

「梨乃もなかなかイケメンだけど、梨乃の隣の人もかっこいいね!」
「ん…?」

そう言われて隣を見て
あたしはびっくりした。

「あー!!」
「よぉ、ちび」

なんとあたしの隣の席は
朝ぶつかった王子様…いや、
最悪な男だった。

「なんでお前が隣に居るんだよ!」
「俺だって隣に来たくて来たわけじゃねえよ」

この人が隣なんて…、
なんか嫌な予感がする!

この先どうなっちゃうのかなぁ…。