―学校――

只今の時刻9:10。
困った…体育館どこよ。

さっきから廊下を
ぐるぐるしてるのに
全然人に逢わない…。

そりゃそうか、
みんな入学式だもんね。

よくわかんないけど、
取り敢えず思ったより
学校が広い…。

もー、どうしよう!

バタンっ

曲りかどで
何かにぶつかる。

「痛…っ!」

その衝撃で思いっきり
こけて足捻っちゃったみたい…。

「大丈夫!?」

優しげな声の方を
見上げてみる。

そこに立っていたのは
あたしと同じ一期高校の
男子制服をきた人だった。

綺麗な黒髪に白い肌、
くっきりした顔立ちと、
すらっと長い手足。

まるで漫画に出て来る
優しくてイケメンな王子様!

…なんて夢見たのは
ほんの一瞬だった。

「んだよ、男かよ…。」

さっきとは全く違う
低くて冷たい声を出す男。

あ、そうだ。
あたし男の子なんだ。

「気をつけろよチビ。」

そう言ってその男は
倒れてるあたしを置いて
どこかに行ってしまった。

「なんなのあいつ!」

チビはないよ、
ないない!あり得ん!!

あたしはでかい態度の男に
腹を立てながらその場から離れた。