廊下を歩いていると それほど遠く無いところから 半分笑いながら ヒソヒソ言う声が 聞こえてくる。 「緒川さんて、怖いよね。 化け物かって」 もう一人の明らかに焦った声。 「シッ。 聞こえちゃうよっ……」 これでも一応人間なんだけど。 「いつも一人だよね」 「そりゃー、友達出来ないよ。 みんな怖がってるし」 コソコソ言われることには 慣れた。 私は何も悪くないから。