「……ん?寺島か、何か用事でもあるのか?」


ちょうど良く教室に戻ってきた嘉川くん達から聞き、私は急いで図書室へと足を運んだ。

図書室の隅っこ、ストーブ前の静かな場所で西園寺くんは座っていた。


寒い時は、時々ここにいるみたい。



それにしても、西園寺くんに図書室は似合わないような。

「えっと、ちょっと図書室に用があって」

私は、適当な言い訳を口にする。

「ふーん」

西園寺くんはそう言うと大きな欠伸をした。

私はその辺の棚を探す振りをしながら、彼を盗み見る。