俺は、寺島がどんな反応するのか気になって、今度はアイツに絡んでやった。
壁に追い詰めた時、寺島は泣きそうな顔になったが、俯かずに俺を睨みつけた。
「私は、何をしてるのか聞いただけ」
けれどその肩は小刻みに震えていて、ホントは怖がっているのが分かった。
それなのに、逃げようともしないなんてある意味感心した。
加えて、自分を置き去りにして逃げた女共を非難もせずにいる。
―――バカなヤツだと、呆れた。
弱いくせに精一杯強がって、そのくせお人好し。
俺の周りにはいない種類のヤツだった。
だからこそ、俺は寺島を気に入ったんだ。
もっと色んなコイツを見てみてぇってな。