気が付いた途端にどうしても意識してしまう、西園寺くんに捕まれた腕。
熱が、伝わってしまうかもしれない。
私は油断していた西園寺くんから腕を振り離した。
「カノコさんがいるのに、私なんかをからかわないでよ!」
その言葉に西園寺くんは分からないという表情を浮かべる。
「何言ってんだ?夏乃子がいるからって事と寺島は関係ないだろ」
「関係あるよ!好きな……人に彼女がいたら」
そう言うと、西園寺くんが大きく目を見開いた。
「何だって?」
「関係あるって……」
「その後」
聞かれて言葉に詰まる。
また、あの目で見竦められる。
「好きな人、って……」