「ねぇ!この手帳、来年のにしようと思うんだけど!」
特徴的で可愛らしい声だな、と私はふと思う。
「ちょっと、聞いてるっ?」
女の子がじれた様にそう言うと、その隣から眠そうな声が聞こえた。
「あー、いいんじゃねーか?」
「もう!玲ちゃんったらちゃんと見てよね」
『玲ちゃん』?
それに今の声には聞き覚えがあるような気が……。
「おー、見てる見てる。だから早く決めろよ、夏乃子」
相手の男の子がそう言った直後、別のコーナーへ歩いて行くのが見えた。
―――って、西園寺くんっ?
私は驚いて、思わず見つからない様に身を隠す。