「そ、そんな事ないよ」
「あん時、お前が俺を庇ったりするから驚いたっつーの」
「あれは……許せなくて思わずっ」
「ははっ、寺島らしいな。やっぱり震えてたし」
西園寺くんは実に楽しそうに笑ってみせた。
「さすが、俺のお気に入りだな」
そう言って私を見るその目がすごく優しくて、ドキンと私の心臓が音をたてた。
『お気に入り』……。
私の脳裏に過ぎるのは、最初に西園寺くんに言われたあの言葉。
『お前、気に入ったよ』
あの時は怖くて仕方なかったけれど、今は何だか顔が熱くてどうしようもなかった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…