「ちょっと膝貸せ」

そう言った途端、倒れ込む様に私の足を枕にした。

「え、えっ?」

混乱する私を見上げながら、また笑う。

「終わるまででいいから休ませろ」

「う、うん……」

それだけ言うと、その長い睫毛を伏せる。

周りではまだケンカが続いていて、そんな中で私達は隔離された様な状態になっていた。



他にする事がないので、私は西園寺くんの顔を見た。

赤く殴られた跡がある。

唇の端には、また血がにじんでいる。

痛そうだな……。

気が付けば、私は撫でる様に頬に触れていた。