とりあえずドアノブを回してみようとドアに背を向けたその時、ガチャリと鍵の開く音がした。
私が慌てて身を引き、その場から何歩か下がった所でドアが開いた。
「お、目ぇ覚めたのか」
「あ……」
その男子は、さっき私の腕をつかんだ人だ。
「逃げようとしてたんだろうが、出たって見張りだらけだぜ」
「う……」
「ま、そこ座んなよ。アイツが来るまでは諦めて大人しくした方が身の為だ」
促されて、私は仕方なくまたソファーに座り直す。
すると、その彼も少し離れて私の隣に座った。
手に持っていたビニール袋を前のテーブルに置く。
その中から缶を一つ取り出すと、私の前に突きつけた。