家に着くまでの間、特に話らしい話はしなかった。 『あっち?』『ううん、こっち』 ほとんどそれだけの会話。 学校だと、西園寺くんが話っぱなしなのに。 けれど沈黙が落ち着く気がするのは何故だろう。 家の近くに着いた時、私は西園寺くんに自分から思い切って声を掛けた。 「もう、すぐそこの家がウチだから。……ありがとう」 「別に気にすんな。ウチん家も近いんだよ」 「そうなの……?」 「あ?あー、まぁな」