私が振り向いたと同時に目が合って、西園寺くんが確信の笑みを浮かべる。
「やっぱ寺島じゃねーか。どこ行く気だよ」
「ど、どこって……。帰る所だけど」
「今入って来たばっかなのに?」
「それは……あ、用事を思い出してっ」
「お前、ウソ吐くの下手だな」
「うう……」
私、とっさのアドリブは苦手なんだよね。
決まったセリフは大丈夫なんだけど。
「ま、いいや。俺も丁度ここ出るとこだから」
そう言うと、半ば強引に私の手を引きながら店を出た。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…