「まぁ、特に面白いもんはねーけどな」
「そんな事ないよ?本もCDもたくさんあるね」
「あー、まぁな」
私の指摘した事に、西園寺くんは少し戸惑ったような返答をした。
本棚に並んでいる本なんて、小説とかが多くて意外さに驚く。
勝手なイメージで、雑誌とかマンガがいっぱいあるものだと思ってた。
「んな所に立ってねーで座れば?」
西園寺くんが示したのは背もたれがゆったりとしたソファだった。
私が座ると、彼は自分のベッドの端に腰かけた。
「連れてきたはいいが、何もねぇな。この部屋」
困った様に西園寺くんが呟く。
「何か聞きたい事とかあるか?」
そう言われて、私は考え込む。
「えーと……。あ、この作家さん好きなの?」
私は目に止まった本を指差す。
同じ人の名前がいくつも並んでいた。
「ああ。じいさんが気に入って読んでたんだけど、おもしれーから譲ってもらった」
「へぇ……、私も今度読んでみようかな?」
「良かったら試しに何か貸してやるよ」