家の近くに着いた時、私は繋がれた手をそっと外そうとした。
けれど、反対にギュッと握られて外せなくなる。
「西園寺くん……?あの、着いたから―――」
「―――寺島」
まっすぐな目線が私をとらえる。
「俺も、色んな顔のお前が好きだから」
「あ……うん」
改めて言われた『好き』という言葉が、心に染み渡る。
「俺みたいなのと一緒にいたら、これからも色々あると思う」
ぽつりぽつりと西園寺くんが言葉を口にした。
「また危ないメにあったり、心配させるかもしれない。それでも、いいか?」
どこか不安をにじませた表情。
私は、そんな不安を吹き飛ばす様に笑ってみせた。
「大丈夫、それでも私は西園寺くんが好きだから」
はっきりした声音でそう答えると、西園寺くんは目を見開いた後でいつものニヤッとした笑みを浮かべた。
―――そう、例え何度危険な事があっても。
だって危険なこの人を好きになったんだから!
終わり