「もし……、もし何か辛い事があったらいつでも話聞くからな?」

「え……?」

「まぁ、遥が笑ってればそれでいいけどな」

そう言って優しく微笑む陽二さんに、不覚にもドキッとしてしまう。

「ありがとう……陽二さん」





店を出た私達は、それぞれの帰る方向に別れる。

歩き出す私の横に、西園寺くんが並んだ。



「―――寺島、さっきアイツと何話してた?」

「アイツって、陽二さん?」

「しか居ないだろ」

そう言う西園寺くんは少し不機嫌そうに見える。

「ん……と、」

私が言いにくそうにしていると、西園寺くんの眉根にシワが寄った。

「言えない様な話かよ」

「そ、そんな事ないよ!」

「じゃあ何だ」

「えーと……」

再び言いよどむと、今度は怒りのオーラが飛んできた。