「これで分かったか?」
そこには、少し偉そうな表情の西園寺くんがいた。
寒さのせいか耳も赤くなってるんだけど、何だか可愛く思えて私は思わず笑ってしまった。
「おい、何笑ってんだよ!」
「ご、ごめん」
西園寺くんが怒っても、私は笑いを止められない。
「お前なー、……ったく」
呆れた様子の西園寺くんは、脱力してまた髪をグシャッとかき上げた。
「てか、寒いな」
そう言って腕をさする。
「もう中に戻るぞ」
「あ、そうだね」
私が頷くと、西園寺くんは思わずドキッとするような優しい笑顔を浮かべた。
「次逃げたら、これぐらいじゃすまさねーから」
「……えっ」
それは、危険な貴方の危険な笑顔。
驚く私を残して校舎に戻る西園寺くんを、私は慌てて追いかけた。