「寺島、そこ俺の指定席だけど」


声に気が付いて顔を上げると、そこに立っていたのは西園寺くんだった。

「あっ、ごめん!」

私は慌てて立ち上がる。

そうだ、ここいつも西園寺くんが座ってる所だったよね。

いつの間に座っちゃってたんだろう、私……。



「……何か考えてたみてーだけど、どうした?」

席を交代しながら西園寺くんが私に聞く。

私は一瞬ビクッとしたものの、慌てて取り繕った。

「え!あ、あの……今日の晩御飯何かなーって!」

私が笑ってみせると、彼は疑わしい目でこっちを見た。

「昼飯食べたばっかなのにか?」

「うっ……」

「ホント嘘つけねーヤツだな」

西園寺くんは呆れたようにため息をつく。

ううう、つくづくダメだなぁ……。