何か分からないけど怒ってるみたい……。

変にごまかしたから?

「待って、西園寺くん!」

慌てて走り寄って伸ばした手は、かろうじて服をつかんだ。

足は止まったけど、こっちを向いてくれない。

「あ、あの……」

何とか声を絞り出す。

「あのね、西園寺くん……さっきの、嘘ついた」

「……嘘?」

「うん。その……アレ、ただの疑問じゃなくて……ヤキモチ、でした」

そこまで言った私は、恥ずかしさでうつむく。

わずかな時間、沈黙が漂う。