「見ろよ、エイだ」
「大きいね。飛んでるみたい」
応えながら、ガラスの向こうを見ている横顔を盗み見る。
薄暗い照明の中で、西園寺くんの表情は楽しそうだ。
こうしてると、彼の昨日の姿が嘘みたい。
羽村さん達と一緒に五代さんに向かって、ケンカして。
アイさんの事であんなに怒って……。
思い出すと胸がギュッと苦しくなるけど、今はきにしない事にしよう!
あ、でも顔のすり傷はまだ痛そう。
ぼんやりそんな事を考えていると、不意に西園寺くんと目線が合った。
「ん?何だ」
「えっ?―――あ、あっちにウツボが泳いでる!」
私は慌ててごまかす様に逆方向を指差す。