ふと足を止めた俺に、寺島が不思議そうな顔を向ける。
「西園寺くん……?」
改めて寺島を見る。
何でこんな時に限って男物着てるんだよ、コイツは。
初めて見た制服以外の格好がコレって。
呆れつつも、俺の事でしている格好なら仕方ないかと思ってしまう。
けど、今言うのは止めだな。
俺は、勢いよく寺島の手を握る。
「―――えっ?」
目を丸くする寺島に、余裕の笑みを浮かべてみせる。
冷えた手が温まってくるのを感じた。
ジッと見ると困った様に寄っていく眉。
さまよいだす目線。
もう少し、この状況を楽しみたいしな。