路地裏を出てしばらくの間、俺は口を閉ざしたまま歩いた。
隣で寺島が不安そうな顔をしているが、どうしても声をかける気にならなかった。
原因は分かってる。
さっき見た、『笑顔』。
この2ヶ月近く寺島と一緒にいたっつーのに、笑顔を見たのは初めてだった。
怯えた顔。怒った顔。困った顔。悲しい顔。
色々な顔を見ていたにも関わらず、あんなにも全開の笑顔を見たのが初めてだったって事に気が付いた。
しかも、真司に関する頼み事でってどういう事だよ。
ムカついて仕方がない。
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