そのまましばらく沈黙が続き、目の前には冬の空気にさらされた白い息が漂っている。
怒られるんだろうなと思っていたら、
「さっきは頭の中が真っ白になった……」
ぽつりと西園寺くんがもらす。
「ごめん、なさい」
私は申し訳ない気分になって、西園寺くんの肩に目を伏せる。
「いないと思ってるヤツがいたら、すごく焦るだろが。しかもあんな場面で」
「そうだよね……」
相手との対立の真っ最中だったもんね。
「オマケにあんなヤツに捕まって、泣きそうな顔してるし」
「うん……」
迷惑かけると思ったら、勝手に悲しくなってしまったんだ。
「そもそも、何であんな所にいたんだっつの」
「う……」
そ、それは……。
思わず言葉に詰まると、西園寺くんは身体を離して私の目を見た。