「オレ達はその事を頭に入れた上で、亜依と会ってるんだ。つまり、泳がせてるわけ」
「そう、なんだ……」
私は、ホッとしていいものか迷う。
嫌われたと思っていたのは誤解だったけれど、現状は複雑なもので。
「そんなわけだから、当分の間は玲ともオレ達とも距離を置いてほしいんだ」
校内でも誰かに見られてるかもしれないし、と嘉川くんは付け足す。
「で、最初に言ったけど……オレがこの話したってのは内緒ね。特に玲には!」
「うん。話してくれてありがとう、嘉川くん」
私が小さく笑ってみせると、嘉川くんもイタズラっぽい笑顔で応えた。
「まぁでも、それも後少しのガマンかな」
顎に手をやった嘉川くんが考え込む。
「そろそろ、仕掛けてくると思うんだよね」