嘉川くんが話してくれた事は、まず西園寺くんが私を遠ざけた事から始まった。
「オレが聞いたのはその日の夜になるかな?電話があって、『明日から寺島とは接触するな』って言われて」
西園寺くんの指示で嘉川くんは仲間内にその話を広げて、私とはなるべく関わらない様にしたそうだ。
「理由聞いたら不機嫌丸出しで、『その方がアイツが安全なんだよ』だってさ」
嘉川くんが呆れた様に苦笑いを浮かべる。
彼の言う事には、西園寺くんは自分が近くにいる事で私が獅龍に狙われるというのを避けようとしているらしい。
「ま、前回の蘭高と同じ事にならないようにした訳だな」
「西園寺くん……」
私は、気持ちがホッとするのを感じていた。
嫌われた訳じゃなかった―――