「嘉川くん、ちょっといいかな?」
次の日の休み時間、私はちょうど1人になった嘉川くんに思い切って声をかけた。
「寺島、悪いけど……」
すかさず逃げようとする嘉川くんを、私は腕をつかんで引き留める。
「お願い!……どうしても、聞きたいの」
しばらく目が合った後、嘉川くんは仕方がないという風にため息をついた。
場所を変えようという事になり、私と嘉川くんは人通りの少ない階段へと移動した。
「―――で、何かな?」
うながす様に嘉川くんが言う。
「うん……。あのね、最近西園寺くんとよく居るアイさんって人の事なんだけど」