『ただの同じクラスの女』
そのそっけない言葉が、私の頭の中ををぐるぐる回る。
「そうなんだぁ。まぁ、確かに玲と関わる様なタイプじゃなさそうだもんね!」
クスクスと、その人は楽しそうに笑う。
「……もう、いいから行くぞ。亜依(あい)」
「うん、行こっ」
西園寺くんの呼びかけに、アイさんという人は嬉しそうに駆け寄った。
反対に、苦しくなる私の心。
あの時みたいに、振り返らない西園寺くん。
つかまれた腕には、まだその感触が残っているのに。
何だか、とてもじゃないけど本屋さんに行く気分じゃなくなってしまった。
私は、家に帰る道に切り替えようと振り返った。