私は息をのんで、彼らと西園寺くんを交互に見る。
確かに何も出来ないけれど、でも一人逃げるなんて……。
「心配すんな。ここは人通りが多いし、その内誰か通報すんだろ」
「でもっ!」
自分の手が震えてくるのを感じる。
「なーに話しちゃってんのかなー。それカノジョ?」
相手の中の一人がそう野次を飛ばす。
西園寺くんは苛立って舌打ちすると、私に向かって叫んだ。
「行けっ!」
それと同時に相手が西園寺くんに向かって行くのが見えた。
私は西園寺くんの言葉の勢いに押されて、来た道を駆け出す。
……どうしよう!どうしたらいいのっ?