しばらくニラみ続けていると、西園寺くんがフンッと鼻で笑った。 「まぁいいや、今日の所は解放してやるよ」 そう言って壁から手を離すと、後ろの男子達に手を振って去る合図をした。 『なぁんだ』とか『つまらん』とか言いながら男子達が去り始める。 小さくホッと息をつく私に、西園寺くんは小さな声で耳打ちした。 「お前、気に入ったよ」 それが、始まりだったのだ。 「………え?」 後に残された私は、その場で呆然と佇むしかなかった。