「俺らもそろそろこの辺にエリア広げてーんだけど、テメェが幅きかしてるっつーからさ」

一体何が楽しいのか、ケラケラ笑いながら相手がそう言う。

『テメェ』という部分では、アゴで西園寺くんを示した。

「別にきかしてなんてねーよ。売られたケンカ買ってるだけだ」

「ははっ。まぁ、そんなのどーでもいーけど」

相手の男子は吐き捨てる様に言うと、指をポキッと鳴らして見せる。




「―――寺島、逃げろ」

相手を見据えたまま、西園寺くんが私だけに聞こえる声で言った。

「えっ!出来ないよ、そんなのっ」

「バカか、いる方が邪魔なんだよ」

「―――っ!」