「この間、蘭高のヤツらに何されたか忘れた訳じゃねぇよな?」
「う、うん」
それは、そうなんだけど……。
何でかなぁ?
あまり、陽二さんには警戒心がわかなかったりする。
『気になる』なんて、言われたせい?
ううん、もっと前―――多分、あったかい紅茶をくれたあの時から。
「悪い人じゃない気がして……」
「……」
私がそう言うと、西園寺くんは呆れた様なため息をつく。
「あの、……ごめんなさい」
いくら怖くなかったからといっても、簡単についていってしまったのは怒られて当然だよね。
送り迎えしてくれてるのも、危険を防ぐ為だったんだし。