「さぁ、行こう――」

 私を見限り、詩織が言った――。





「その必要はないわ――」

 堂々とした強い声を響かせて、歩を進める人物。




「礼子(れいこ)さん」

 メンバーの声が揃った。

 厳粛な佇まいの社長が、格の違う強く、優しい視線を私達に送る――。


「何を皆、慌てているのかしら、この程度の事で――」


「礼子さん、私のせいでこの様な事態になってしまい、申し訳ありません」


 社長の前に万希子さんが進み、頭を下げる。


「いいえ、万希子さんは悪くありません。全ては私が引き起こした事態です――ですから責任は私にあります」

 私も万希子さんと並び、頭を下げた――社長の姿を見たら、何もかも吹っ切れて辞める覚悟が決まっていた。


「わかったわ、頭を上げて頂戴――」




「さて――どうしたものかしらねぇ――」

 厳しい眼で、私と万希子さんを伺う――他のメンバーも成り行きを静かに見守る。



 沈黙の時間が流れる――重く、厳しい処分が下されるのだと感じた――。




「さよなら、皆――」


 心の中で囁いた。




 更に時が流れてゆく――。