男を「知らず」目に見えない潮流に囚われ、流れ着いた弱者出版社に私は身を寄せる――。


数々の賞の一次選考すら通過できない文才を恨み「夢」が霞み、消える現実――。


「何が夢子よ――」


魂が呻く――。


対照的な舞の軌跡――。


「あの舞が、ヴィーラヴのチーフマネージャー、そして社長に――」


至る過程の「悪い噂」は絶えない――。


真偽はどうであれ、私には舞が「上り詰めた」事実が重要であり、お定まりのゴシップなど眼中にはない――。


広がる人生の「差」――。


このまま私は置いてきぼりなのか――。




多忙を理由に大手出版社の度重なる取材依頼を断り続けていた舞が、私の勤める出版社に突如独占取材の逆オファーを出した「現象」に業界は震撼した――。


震撼するが「抗議」する者はいない――。


この「僥倖」の体験者はたった一人――。




私だ――――。


舞自らが出版社を、私を「選んだ」――。


戸惑いの感情の裏側で蠢く「悦び」――。


「私の事を、覚えてくれていた――」


妬みが「快楽」に変換された瞬間だった――。


今度は私が「妬み」の対象となる――。


しかし、怖くなどなかった――。