「どうもありがとう――――ここで皆さんに、私達ヴィーラヴから、お知らせしたい事があります――――」
いよいよ「儀式」も終盤にさしかかった頃、これまでになかった進行で突如、詩織が神妙な面持ちで語り始める――――。
ただならぬ空気を詩織から感じたのか、声援が止み、偽人達が息を潜める――――。
詩織は、ドーム内をゆっくりと見回し終えると深く深呼吸し、静かに息を吹く――――他のメンバーは、俯いたまま――動かない――――。
月を眺めているとはいえ、ライブの進行具合とアイドール達の表情は、手に取る様にわかっている――――。
「あの発表ね――――」
ドーム内に言い知れぬ不安が過る――。
まさか――――。
解散か――――。
詩織の唇が緩やかに動き、静寂が解かれる――――。
「新メンバーを募集しまぁーす――――」
高揚した詩織の声が、響き渡ってゆく――。
「イェーイ――――」
両手を突き上げ、続くメンバー達――。
「ウォーッ――――」
アリーナ席の一人が先走り、叫んだ――――。