「それじゃあ早速、彼女達に逢ってもらうわね――」
「えっ――」きょとんと立ち尽くしている私に構わず社長は悪戯っぽく笑うと、キャビネットが並ぶ壁面へと歩き出す。オーディオビジュアルセットの隣に死角となり、確認できなかったドアが見えた。私がドアの前に達すると社長はドアノヴを握る。
「さぁ、ここから舞さんの新しい世界が始まるのよ――」
扉が開いてゆく――。
やはり、床から天井までハイサッシュのガラスウォールに囲まれた30畳程の空間の中央に、アルミニウム製の華奢な脚にヴェンゲ突板張り天板仕様の大きな円卓テーブルが置かれ、美しいテーブルを包む様に、メッシュ生地の高級チェアが取り巻いている。
そこに――
彼女達は座っていた。社長と私を一斉に見る彼女達――。
「紹介するわ――新しくチーフマネージャーに本日から就任する、高樹 舞さんよ――」
私を見る彼女達の眼差しは優しいが、何処かで値踏みしている感も含んで見えた。
「さぁ、舞さん――」
「皆さん、初めまして――高樹 舞と申します。今日から一緒にお仕事をさせて頂く事になりました。よ、よろしくお願い致します――」