華々しく輝いている彼女達にではなく、心を燃やす出来事もなく、ただ毎日を事務的にこなし、やり過ごす自分に対してのいつもの行為――。

 自分でも理解はしている。今、画面の中で華やかな世界を演出している彼女達の活動に少なからず、私も係わっているという事実を。


「あの日」以来、1年数ヶ月の間、死んでいた様な毎日から脱し、ゆっくりと現実の社会との係わりを構築し、潤いのある心豊かな日々を送らなければならないという事も――。


 この部屋に越して来た時に、せめて眠りの質は大切にしなければと、妙な理由で新調した高級マットレスに身を預け、私は彼女達から目線を外した。

 一瞬、私の重さを受け深く沈み、やがて体圧を分散しながら元の厚さに復元してゆくマットレス。その心地良い感触に無生産な日々をしばし忘れて夢見心地に浸る――。


 フローリングの床に置かれた間接照明によって、天井がぼんやりと乳白色に照らされ、そこに場面が変わるごとに明暗を繰り返すテレビ映像の光が、私の瞳と脳内で重なり合う。


 左手に持っていたリモコンを額に充て、天井の見つめていた。


 彼女達の歌はまだ続いている――。