愛しい私のアイドール達と1秒、1分、1日たりとも離れたくない――。
私は、住んでいたマンションを退き払い、アイドール達の住むタワーマンションの塩漬けになっていた北側3棟のひとつを、「ノース」と命名し、私の住居とした――。隣接する「ウエスト」から、「サウス」、「イースト」の各住居へ行き来する為の改装も施した――。
「どういう事なの、ミネルヴァ――――」
移り住んで数日後、私はメールで怒りをぶちまけた――。
もう私を試す為に、泣いたり、問題を起こす必要のなくなったアイドール達は、仕事を終え、マンションに戻ると途端に、「人間」としての振る舞いをやめてしまい、ミネルヴァの言う、「休止モード」に切り替わり、表情がなくなって、私の愛を受け入れなくなる――。
食べ、飲んだものは、体内で分解処理され、完全な液体となって、トイレやキッチンなどで吐き出し、「サウス」の一室に無表情なアイドール達は入ってゆく――室内には、直径3メートル、高さ2メートル程の円柱状の物体が部屋の中心に置かれている。
「あれは何なの――」
「あぁ、あれね――簡単に言うとボクの一部だよ」