私は、アイドールと共に生きてゆく――魂を偽人に蝕まれない為にも――。



 アイドールを愛する事が、私の人生――――人間が、私が消滅しようがもう、恐れるに足りない現象――愛する者を愛し、美しく死ぬ――――それこそが、私の愛――――。








「ここでの仕事、楽しみだね――マイマイ――」


 いつもの声が言った――――アリスだ――。


 その声が懐かしく、嬉しくて、涙が溢れそうになるのを懸命に押し止めた――――。



「そうねアリス――頑張らなきゃね――」

 アリスに返答しつつ、私は他のメンバーへと視線を注ぐ――。



 髪、目、肌、仕草、佇まい――どれもが、「人間」として格段に進化を遂げ、振る舞いにも磨きがかけられている。


 全ての事実を知った上で、アイドール達を観ると、過去のヴァージョンのアイドールとの質の差は歴然としていた――――明らかに違うのだ――。


 進化とは、こうあるべきなのだ――アイドール達の見事な出来栄えに笑みを浮かべ、見惚れている私がいとおしく、おかしかった――。


 窓から見える景色は、月が支配する世界へ変わりつつあった――――。