そうでなければ、「負ける」にしても、自分を保てなくなる気がした。


「舞さんの怒った顔も可愛いわね――――でもね、嘘ではないわ。確かに、彼女達の真実は隠していたけれど、人間でもそうでなくても、舞さんに起こった現象は嘘ではないわ――全て事実だもの――」


「――――」


「そう、私は舞さんを試したわ――あなたがどう対処するかを確かめる為に――」


「確かめるって――」

 唇を噛み締め、礼子さんに迫った。

 私の怒りに応える様に、すっと礼子さんは立ち上がり、対峙し口を開く――。

「私の想像以上に舞さんは良くやってくれたわ――合格ね――」

 薄ら笑う礼子さん。


「一体、何が合格なんですか――」

 沸き上がる怒りが、理性を歪めてゆく。


「まるで見世物じゃないですか――プロデューサーに楯突いたり、カネで真実を覆い隠したり――――そんな事が合格だなんて――――満足ですか、私が戸惑い、慌てふためく姿を見て満足しましたか礼子さん」

「――――」

「何とか言って下さいっ」

 強い語気が、絶叫へと変わっていた。


 不満そうに私を見る礼子さん。


「駄目よ――」