「言った筈よねぇ――」
「えっ――」
「彼女達を任せたいって」
「――――」
「いつまでも隠すつもりはなかったのよ。だから、ここに来てもらったの――気分を害したら謝るわ。でもね、事が事だから、舞さんを試させてもらったわ――――」
「試すって――――」
「ふふっ――それに、ヴィーラヴが私達と同じではないと最初に言っても、舞さんは信じないでしょう――そして、誘いを断って――――また――」
「だから、私を騙して、試したんですか」
「そうよ――――」
私の怒りを軽やかな身のこなしでさらりと躱し、あっさりした口調で礼子さんは認め、言った。
当然、私の満足する受け答えではない――幾多の修羅場を潜り抜けたであろう礼子さんにとって、私の怒りなど赤子が駄々を捏ねている風にしか感じていないのであろう。
現に、少しはにかみ、私をこれからゆっくりと説得さえしようと隙を伺っている。
「万希子さんや、アリスの事も全て私を試す為の嘘なんですね――」
きっと、この問答も私が不利な状況に追い込まれてゆくのだろう――でも、今は礼子さんに抵抗したかった――。