ガラスと華奢なアルミニウムの柱で囲まれた30帖程の「小部屋」のソファーの上で、私は礼子さんに抱かれ、この世界に戻った。
倒れたのは、頭痛が原因ではなかった――――肌という衣を纏っていない、「剥き出し」の彼女達を見た瞬間に意識を失い、私の世界に旅立ったのだ――。
礼子さんはソファーに座り、足を組み、寛いでいる――――私は少し離れて立ち、礼子さんと対峙する。
他に何もなかった――――上品なデザインのソファーがあるだけ――まるで私が倒れ、礼子さんが介抱するのを想定されていたかの様にしつらえられた空間――。
一定の周期で低く唸る振動音が、不気味さを更に掻き立てている。
「何ですか、これは――礼子さん」
「これはって――――そうじゃないでしょう、舞さん――」
「ちゃんと答えて下さい礼子さん――彼女達は何なのですか――」
「ヴィーラヴよ――」
「くっ――――礼子さん、開き直るんですか。私を騙していたんですかって聞いているんです」
拳が震えている。
ソファーの背もたれの上部に右腕を乗せ、ガラス越しに彼女達をいとおしく礼子さんは眺める。