ひらり、ひらりとフロントウインドウに降り積もる――――。
桜の花びらだった――――。
車を完全に停止させる――。
窓からは、その花びらと一緒に、私の髪を揺らす程度の少し冷えた風が入る――。
無数の花びらが、風に揺らめき、舞う――――。
この世界は、何なのか――私の潜在意識が望み、導いた世界なのか――。
尚も花びらは降り積もり、フロントウインドウは花びらで埋め尽くされた――――。
いっそ、このまま埋もれてしまおうか――。
目を閉じる――――花びらが積もり、触れ合う音を感じながら――。
花びらは舞う――。
私の想いに応える様に――――。
すうっと、意識が遠くなってゆく――。
命が――終わる――――。
「誰――――」
ふと、誰も乗っていない筈の助手席に気配を感じ、不確かな声で言った――――。
私が、「心地好く」独占していたこの世界に、突如として現れた人物――――。
少女――――。