導かれてゆく速度が増す――。点だった黒の世界は、人が通り抜けられる大きさに拡大している。
美しき白の世界よ、さようなら――。
黒の世界が迫る――激しく心臓が鼓動する。これから私は黒の世界へと旅立つ――何があるかはわからない。それでも、導かれるままに私は漂い、進む――。
白の世界と黒の世界の境目に達する――頭から、もの凄い速度で黒の世界に突入してゆく――――同時に、眩しい光が放たれた。
眩しさに目を閉じる――けれど、私は一刻も早く黒の世界を体感したかった。この目、この体、この心で――。
私は目を開けた――放たれていた光は、私を優しく包み込み、温かい。
「はぁ――――」
心が解きほぐされてゆく――。
周りを見回すと白の世界はもうなく、既に黒の世界に到達していた――黒の背景の中で光を纏い、私は漂う――――。
何も――起こらない。
体を丸め、ちょっぴり不安に漂っていたその時、包んでいた光が一瞬にして消え、闇の世界が訪れた――私は、どうなってしまうのだろう――――。
意識が、なくなってゆく――――。