白い世界が、絶え間なく広がる――。
私は全裸で身を委ねている――――。
ふわり、ふわり、雲であって雲でなく、この世界全体が雲なのかもわからない――。
夢なのか――――頬をつねる。
「痛い――」
私は確かに白い世界に存在している。無重力の空間が心地好い――。
私は無邪気にも、泳いでいる――正確には、泳ぐ動作の真似事をしている。無重力の空間故に、前転したり後転したりと、私の体はくるくる回る――それが楽しくて仕方がない。
他人が見れば、何とも滑稽な風景だろうか――。
でも、この世界には私しかいない――私に用意された、私だけの特別な世界――。
私はこの白く美しい世界を楽しんだ――「現実」の世界でないのはわかっている。
そんな事など――――どうでもいい――。
今、この世界に私がいるという現象こそが事実であり、「現実」なのだ。
遥か先に、黒い点が見える――白の世界に黒。興味をそそる――。
点だった黒が、段々と大きくなる――私の体は、何もしなくても、黒い世界へと導かれている――。
白の次は黒い世界――――。