指示された建物の地下駐車場に車を駐車し、内部に入る――。




「こちらです――――」


 受付の女性の案内で辿り着いた、渋く銀色に輝く大きな扉の横にあるセンサーに、ビジターの磁気カードをスキャンさせる――――いつの間にか案内の女性はもういなくなっていた――。




 警告音を鳴らし、重々しくゆっくりと横へスライドしてゆく銀色の扉――。





 こんな所で打ち合わせ――――疑問を抱きつつ、歩を進める――。





 頭が――――痛い。


 軽い頭痛が、いよいよ加速されたのか、体もふらつき始める――。




 ゆらりと大きく揺れ、やがて前方へと私の体は傾いてゆく――。





 誰かが、「ふわり」と私を受け止めた――――柔らかな感触に目が閉じてゆき、私の意識はゆっくりと、ここではない別の世界へと旅立った――――。







 第1部 プロローグ


 完――――