何処で撮影されたかなど、問題ではないのかもしれない。自分の前で微笑み、語りかけ、怪しい躰を惜しみなく披露してくれるならば、場所や背景が何であっても意味などないのであろう――主はヴィーラヴであって他は単なるお飾りなのだ。
ただのお飾りの為に、底知れない金額の設備と人材が、贅沢に投入されてゆく――。
彼女達は、1週間後に迫ったシークレットライブのダンスレッスンに取り組んでいる――。
「何故、僕達の前に姿を現さないのか――」
ヴィーラヴの公式ホームページや関連するサイトでの悲痛な叫び――。
確かに、ヴィーナスタワー内やネットでの活動が大部分を占めるヴィーラヴにとって、ファンとの直接的な接点は皆無に等しかった――いわゆる「歌番組」も激減し、「茶番化」された大晦日の歌合戦には、こちら側から出演を拒否している。
「叫び」に応えるライブの開催――。先に発売された4枚目シングルの初回完全限定生産版に応募券を封入して、送り返した人達を対象に抽選で2千名を、ヴィーラヴシークレットライブに招待する企画を用意した。
「渇いた」者達が、当選を求め、群がった。