「あたしも、好きよ」
誠に倣って目を細めた瞬間。
…ふいに隣に引き寄せられて、急に途切れた水平線。
ザザン、ザザン。
耳の奥でそれだけを共有しながら、反芻しながら…重なる影。
─それは、海の演奏会。
あたしたち二人、このまま溶け込んでしまえばいい。
触れ合う唇から、耳に届く音まで、入り交じるように…全部。
全部。
誠の好きなものは、全部好きだった。
どんな誠も、全部好きだった。
─恋をしていた。
風に乱れた頭のてっぺん、制服スカートから覗いた膝小僧、履き古したスニーカーの爪先まで、全部使って。
あたしは、あなたに恋をしていた。
『恋の寿命は四年なんだって』
恋の次は愛?
…恋でも愛でも、なんでもいい。
「──まこと、」
ただ、あなたが好きです。